“Adobe CC” 旧バージョンDL廃止問題の論点
この記事などで話題となっている件。少しブックマークコメントもした。
気になるコメントについてや、その他の論点を考えてみたい。
ネット上コメント「権利侵害はAdobe社側の問題なのになぜ利用者側が影響を被らなければならないのか」
このネット上でいくつか見られるコメントについて。
Adobeの言う通りAdobeが第三者の権利を侵害していたという事実があったという前提で考えることとする。
そもそも、第三者権利侵害をしているようなソフトウェアを、その事実がわかった上で配布し続ける行為というのは、倫理的に避けるべきことではないかと思う。そしてもちろん、事実がわかった以上、その後の賠償リスクを早期に除去しようというのは、営利企業、公開企業として当然のことであると思う。そこすら批判するのは、筋違いではないだろうか。
論点「Adobe側の第三者権利侵害がなかったとしても、今回のような重大なサービス内容変更を行えるか」
Adobe側の第三者権利侵害がなかったとしても、営利企業なのであるからサービス内容を固定化することを、行政なり裁判所なりに強制されることはないだろう。
もちろん、利用者側に対する損害賠償問題にはなりうる。
契約で特殊な条項がない限り、当初表示していたサービスの内容を変更したら、契約上の義務違反になり、債務不履行として、利用者側のサブスクリプションフィー相当額はまず確実に損害賠償が認められるであろうし、利用者側で付随的な損害が生じれば、その部分の賠償も認められる可能性はある。
もし特殊な条項があって、重大なサービス内容変更を勝手に行っても「Adobeは損害賠償責任を負いません」のような条項があったとしたら、民法の通常原則では賠償を求められないが、民法の特別法で(例えば利用者が個人であれば消費者保護系の法律で)その条項について無効として争えば、なお賠償が認められる可能性はある。金額の範囲は上段と同じ論があてはまる。